不肖不精な置小屋 seasom2

仮面ライダーのS.H.Fの写真を中心に、まったりやってます

仮面ライダーディケイド考察小説 第十一幕 「The Legends」

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「来たか…ディケイド」
 
 傷心癒える間もなく、訪れた次の戦場に待ち受けるは三人。
 
 
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仮面ライダー一号に、
 
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仮面ライダー二号。」
 
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「そしてV3…か。」
 
 ディケイドが順にその名前を口にする。
 始まりの男、本郷猛。
 その後に続いた一文字隼人。
 そして彼らの手によって死の淵から蘇った男、風見志郎。
 
 連綿と続く戦いの渦の目となった彼らが集結し、ディケイドを出迎えた。
 
 
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「どうした、策を弄するのは止めたか?」
 威風堂々とした彼らを揺さぶるが、一号から返ってきたのは意外な言葉だった。
 
「その口振りだと、すでに相当のライダーたちが倒されたか」
「…どういうことだ?」
 
 ディケイドが問い返すと、二号が答える。
 
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「もはや我々はお互いの状況を確認できていない。オペレーターを務めていたライダーマンが敗れ、ディエンドの残していったライオトルーパーがひとりでに消滅したせいで、我々は次元を超えての通信が不可能になったからな」
 
「…海東か」
 あのお宝マニアが何を考えているのかは分からないが、彼の召喚したライオトルーパーが消滅しているということがその結末を示唆していた。
 
『君の邪魔をすることにしたよ』
 ある世界でそう言っていたのを思い出す。
 
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「あえて君に聞こう」
 
 
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「あと、何人だ」
 
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「あと六…いや、三人だ」
 
「そうか…だが俺たちもそう易々とはいかんぞ」
 
V3が語気を強めた。
 
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『行くぞ!』
 
 
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「ライダァァァ」
 
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「パァンチ!」
「ぐっ…!」
 
 最初に躍りかかってきたのは仮面ライダー二号、一文字隼人!
 
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 その受け流された剛腕は地面を穿ち、まるで砲弾のように威力を炸裂させた。
 
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「腕が…!」
 そしてその威力は受け流したはずのディケイドの右腕にも爪跡を残していた。彼の技術とディケイドのスーツを持ってなお衝撃を吸収しきれず、麻痺して感覚を失う。
 
 さらに死角から近づいていた一号が技を重ねる。
 
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「ライダーチョップ!」
「ぐっ!」
 
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「その程度で!」
 一瞬動きを遮られたもののダメージは残らず、一号を回し蹴りで狙うが彼はそれを屈んで避ける。
 
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「!」
 
 一号の背後には、V3がすでに必殺キックを繰り出していた。
 しゃがんでいる一号を飛び越えての――
 
「V3キック!」
「ぐわっ!」
 
 意表を突かれて回避が間に合わず、思わず蹴りを防いだ左腕に鈍い痛みが走る。
 
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「こいつら…」
 
「ディケイドよ、お前は強い。我々のスペックだけではとても敵う相手ではない。だがそれは、我々がこれまで乗り越えてきた壁と同じ」
 
 一号が言う中、三人は円を描き隙を見せないようにしながらディケイドを取り囲む。
 
「我々は得られた情報から、お前の行動を分析した」
 
「お前は危機に陥るとカードの力で足場を破壊し、状況を打開しようとする。だが、その腕ではもはやドライバーの操作は不可能…」
 
 二号とV3が続ける。
 
「この窮地、どう切り抜ける!?」
 
 
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 一号と二号が同時に飛びかかり、ディケイドを攻め立てる。
 何とか肩の力で腕を振り回わし、足でかわそうと試みるが一号のパンチがクリーンヒットしてしまう。
 
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 立て続けに素早く追撃を仕掛ける一号に隙は無い。
(くそっ、このままじゃあ…!どうする、どうすれば…!)
 
 カードも、仲間も、地形の有利も無い。そしてここまでの連戦でディケイドのスーツも機能を著しく低下させていた。
 絶望的な状況に追いつめられ、士の耳に蘇るのは先の彼らの言葉。
 
『ディケイドよ、お前は強い。我々のスペックだけではとても敵う相手ではない。だがそれは、我々がこれまで乗り越えてきた壁と同じ』
 
 こいつらの強さは――
 
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 幾度目かのラッシュをその身に受けながら、ディケイドは死に物狂いで一号にぶつかった。
 動かない手を諦め、肘から上の力だけで強引に一号の体を締め上げると上体を全力で回旋する!
 
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「何っ!」
 一号はその不格好な投げ技に宙を舞う。
 
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「本郷先輩!」
 その勢いは凄まじく、V3がフォローしようと回り込んで抱き止めた。
 
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 だが、
 
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 その力を止め切れずにV3も吹き飛ばされ、二人ともども地面にしたたか打ち付けられる。
 
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「はぁっ、はぁっ、がはっ!」
 一号のラッシュによって痛めつけられた口の中からは、血が溢れて呼吸を苦しめた。
 それでもかまわずディケイドは二号に向き直る。
 
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「おおおおおっ!」
 
 
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 これもまた不格好で稚拙、遮二無二なだけの突進。
 
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「ぐっ…!」
 だがその体当たりは力の二号であっても後退を余儀なくされる、それほどの馬力と気迫を伴っていた。
 
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 たまらず二号は体を捌いてディケイドを地面に叩きつける。
 結果こそ二号の勝ちだが、それは彼の領分『力』で競り負けたことを二号自身に実感させていた。
 
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「やるな…ディケイド!」
 一号とV3が受けたダメージから復帰する。
「…何が『やるな!』だ、わざわざこんな真似しやがって、何が目的だ!」
 
 苛立つディケイドに、彼らは満足げに頷くのみ。
 
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「我々の強さ――それは諦めない心」
「懸命に戦い抜く魂」
「貫く信念――確かに託そう、この力と技を持って!」
 
 
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「お断りだ!」
 まだ動かすと激痛が走る腕に鞭打ち、ディケイドはようやくこの戦い初めてにして最後のカードを装填する。
 
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『トォ!』
 
 同時に一号、二号、V3も地面を蹴る。
 
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『ライダー・トリプルキック!』
 
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『ファイナルカメンライドゥ ディディディディケイド!』
「うおおおおっ!」
 
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 四人の全身全霊を賭けたキックが、上空で交差する!
 
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「ぐっ…!」
 
 大爆発を伴いながら、トリプルライダーを打ち砕いたディケイドはそのまま顔面から不時着してしまう。
 
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「…勝てた、いや」
 
 これまで戦ってきたどのライダーたちよりも強く気高い、彼らに敬意を表する。
 
「勝たせてもらった、のか…」
 
 
 
 
 残り――四人。