不肖不精な置小屋 seasom2

仮面ライダーのS.H.Fの写真を中心に、まったりやってます

仮面ライダーディケイド考察小説 第十二幕 その1 「世界を賭けた戦い、その果てに立った者」

 もうすでに「残党狩り」の様相を呈してきた戦いも、この世界で終わるだろう。

 
 そんなことを考えながらもはや勝敗は明白の戦いを見つめる。

 
 何故彼がわざわざここに現れたのかは知る由もない。だが代用品を使わずに済んだことで、より完全なる結末を迎えられることに頬が緩んでしまう自分が可笑しい。
 
 何人かのライダーに目的を感づかれていたようだったが、その後始末も終えた。
 
 
 この余興も大詰めだ。
 
 
 
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「しかし、どの世界にも似たような場所があるもんだな」
 これが最後になるかもな――
 そんな感慨に浸る間もなく、戦いの場に足を踏み入れていたことを悟る。

「あの時お前を消しきれなかったことを悔やむよ、世界の破壊者…ディケイド」
 明るい茶髪の、飄々とした青年がそう言い捨てる。

 彼のことを士は知っている。剣崎一真、またの名を――仮面ライダーブレイド
 
 
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「お前に言われたくはないな、その姿は何だ」

 一見、なんの変哲のない人間に見える。

 だが今彼らのいる場所は時空破断装置によって他のエリアから隔絶されており、その影響から南光太郎などのような肉体を直接改造されている改造人間でさえも変身状態でなければ負荷に耐えられない状況にある。

 そこで変身もせずに平気で歩いている理由は、彼がアンデッド…その最後の一人となったとき、世界を滅ぼしてしまう存在・JOKERだから。
 
 

「世界を滅ぼす畜生が、人間ごっこか?」

「人間のフリをしているつもりはない――俺は、『仮面ライダー』だ」
 

 ブレイドバックルを装着し、スペードのAをかざす。
「たとえ世界の敵になっても世界の為に戦う、皆のために。それが俺の仕事だ」
 

 士はその言葉を否定はせず、ただ黙っていた。

「お前にその覚悟があるのかどうか、それを試させてもらう!」

 チェンジビートルをバックルに装填し、アンデッドの力がバックルを通して剣崎の全身を駆け巡る。
 警告音のように鳴り響く待機音を退け、吠える。

「変身!」
 
 
 
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『ターンアップ』
 

 オリハルコンエレメントが彼の全身を包み金色の騎士、仮面ライダーブレイド・キングフォームへと姿を変える。
 
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 全ライダー中最強に近い破壊力を誇るブレイド・キングフォームが振るうキングラウザーに真っ向から競り合い、激情態のディケイドですらわずかに押し負ける。
 
 
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「ぐっ…」
 その歯がゆさに震えるディケイド。
 
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「俺とおまえは良く似ているよ」
 
 そこに余裕を含んだ言葉を投げかけられ――激昂する。
 
 
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「ぬかせ!」

 だがキングフォームとの対峙はこれが初めてではない。これまでの15ライダーや最終フォームとの戦いは初顔合わせばかりだったが、今度はリベンジマッチとなる。

 破壊力はわずかに歩が悪い、だが速度はディケイドに利があった。
 
 
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 沸騰した頭をすぐに切り替えると後方に飛び退きながらライドブッカーガンを連射する。
「ぐっ!」

 重厚なキングフォームの装甲だったが、それを容易く貫く。

 お互いに防御力は相手の攻撃力の前には無力なら、当てた方が勝つ。
 
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 ブレイドは取り込んでいるアンデッドの一体『メタルトリロバイト』の力を活性化し守りを固めるが、
 
 
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速度がより落ちてしまい格好の的と化す。
 
 
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「これで決める!」
 射撃を続けながらファイナルアタックライドへと繋げようとしたところで、激しい爆炎が彼を包み込んだ。
 
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「誰だ!」
 キャッスルドランの吐き出す火球と同格か、それ以上の火の玉がディケイドめがけて飛来する。
 突然の攻撃に戸惑う暇もなく、ブレイドが畳みかける!
 
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『Spade10・J・Q・K・A ロイヤルストレートフラッシュ』

 ロイヤルストレートフラッシュ。
 強化されたギルドラウズカード、その力を最大まで引き出し放つブレイドの切り札。
 振りぬいた斬撃が膨大なエネルギー波となってディケイドへと地面を引き裂きながら飛来する。
 
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「ちぃっ!」
 
 たまらず飛び退いたディケイドの眼下を、山をも崩す一撃が唸りを上げて通り過ぎていった。
 
「…?」
 広がった視界の横目に映った人影がブレイドの方へと向かう。
 
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「一人で行くなっていったろ!」
 その正体は龍の紋章を頭部に刻んだ真紅のライダー…仮面ライダー龍騎
 
「さっきの攻撃はあいつか…」
 ミラーモンスターと呼ばれる魔物をカードに封印し、協力関係を結び戦う仮面ライダー
 先程の業火はおそらく彼の契約モンスターであるドラグレッダーの強化体・ドラグランザーによるものであろうと思われた。
 
 龍騎は烈火のごとくブレイドに怒りをぶつける。
「済まない、どうしてもな」
 そんな彼に息を整えながら笑いかけるブレイド
 
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「まったく、おいディケイドってやつ!」
 当然怒りが収まらないのか龍騎は更にディケイドの方へと矛先を向けた。

「なんだ」
 
 
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「その、えーっと…とにかく、俺は木戸真司!仮面ライダー龍騎だ!一応名乗っとくからな!」
 
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「…」
 
 
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 どうしようもなく反応に困ったが――やるべきことはお互いにただ一つ。
 
 
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 ディケイドは無言で再び攻撃へと移った。
 
「うっわったたたた!」
 
 流石にこれをまともに喰らうほど間抜けではないようで、すでに予期していたブレイドとともに左右に分かれて射撃を回避する。
 

「お前も名乗れよ!」
 そんなツッコミを受けながら、無視してライドブッカーガンで二人を牽制する。
 
(すでに龍騎は強化体の龍騎サバイブに変化している。だが二人とも俺と同じでカードを使用しなければ強力な攻撃には転じることが出来ない――このまま、攻撃し続ける!)
 
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 だが、何度かの衝突で刷り込まれたブレイドの戦闘力とデータ上の龍騎の戦闘力、その差にディケイドの意識はブレイドへと重きを置いてしまっていた。
 そこに生まれた一瞬の間隙を突いて龍騎がベントカードを取り出し、発動させる!
 
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『ソードベント』
 
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 龍の反り立つ角のように、炎の力を宿した刃がドラグバイザーツヴァイより展開した。
(…どういうことだ?)
 ディケイドは戸惑った。
 本来龍騎はオールレンジの戦闘に対応しているため、この間合いでも有効かつ強力な攻撃手段を多く所有している。
 シュートベント・アドベントといったカードがそれである。
 
 だが、龍騎が選択したのはよりによって近接専用のソードベント。
 ただのバカなのか、そう頭をよぎったがすぐに裏切られる。
 
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「おりゃあああああ!」
 
「――!」
 突如猛然と飛翔し、高速で接近してくるその光景に面食らう。
 
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「がっ…!」
 意表を突かれ反応も遅れ、まともに袈裟切りにされてしまう。
 
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「このまま…!」
「そうは問屋が卸すかよ!」
 調子づく龍騎だが、二撃目はディケイドもライドブッカーソードで受け流し勢いを地面へと逃がすと、
 
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 荒っぽく投げ飛ばし墜落させる。
「うげっ!」
 頭から土を巻き上げて、龍騎が情けない声を出す。
 
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「いてててて…」
「ぐっ…」
 明らかにデータを凌駕するその動きとソードベントの威力に、ディケイドはダメージ以上の動揺を隠せずにいた。
 
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「あーいてて…小競り合いじゃあ不利だな」
「…まだ、迷うか?」
 
 ブレイドの問いに、今度は龍騎が笑う。
 
「そんなわけないだろ!もう決めたんだからな――あの時に」
 
「…そうか」
 
 ブレイドにも『あの時』が何なのかはわからなかったが、彼の大事な何かが、そこにあるのだと感じた。
 それを信じて。
 
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パーティションベント』
 
「また…知らないカードか…!」
 目の前の龍騎が呼び出したのは本来通常時に召喚するミラーモンスター・ドラグレッダー。
 
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 だがその炎の威力は、確実にドラグランザーのそれを上回る。
 
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「…ここで、引き下がれるか!」
 迷いを断ち切るように、ライドブッカーソードの剣圧で炎を引き裂いた。
 
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 舞い上がる炎を盾に肉薄したブレイドがキングラウザーを頭上に振り上げる。
 
 
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 重い、一撃。
 
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 互いに剣を払って再び開いた間合い、しかしそれはブレイドの『射程距離』。
 
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「行くぞ!」
 
体から放出された五枚のギルドラウズカードがひとりでにキングラウザーへと収束する!
 
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『Spade10・J・Q・K・A ロイヤルストレートフラッシュ』
 
腰を落とし、全身の力が刃と化す。
そしてその正面に10・J・Q・K・A、五枚のギルドラウズカードが立ち並んだ。
 
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「来やがれ…!」
『ファイナルアタックライドゥ ディディディディケイド!』
 
ディケイドもまた、最強の一撃で相対する!
 
 
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「うおおおおおっ!」
「ウェ――――――イ!」
 
交互に重なり合ったカードへと両者ともに突進、加速し――
 
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刃が重なり合う!
 
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「ぐぐっ…!」
 
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 渾身の一撃は互いに拮抗していたが――これまでの戦いで傷ついていたライドブッカーソードはとうに限界を超えていた。
 刀身が耐え切れずに少しずつ歪み、ひび割れる。
 
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 このままでは、負ける。
 脳裏をかすめたその言葉を――否定する。

「俺は…!」
 
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 キングラウザーの刃に右肩を押し当て、かち上げる。
 
 
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「!」
「負けるわけにはいかない!」
 
 右肩を切り裂かれながらも左手にライドブッカーを持ち替え、ガンモードにシフト。
 
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 その銃口を突きつける。
 
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ブレイド!」
『ファイナルベント』

 龍騎が危険を察知し、ドラグレッダーを伴ってディケイドめがけて突撃を開始した。
 
 
 
 <つづく>