仮面ライダーディケイド考察小説 第二十四幕 「生きていく 激しさを」後編
「もういい…さっさとお前を片付けて次に行かせてもらう」
<ファイナルベント>
「ゴアアアアア!」
ジェノサイダーの腹部が歪んで開き、虚無の漆黒が球体を成す。
それは猛烈な勢いで周囲の物体を吸い込み、無へと帰していく!
姿勢を低くしてこらえるが、地面ごと引き抜かれそうになる。
「消えろ!」
「うおぁああああっ!」
強烈な重力に導かれて、王蛇がキバーラへとミサイルと化して突撃する!
「この一撃に――賭けます!」
覚悟を決めたキバーラは言葉通り、全ての魔皇力をサーベルに込めて上へと投擲した。
「何っ!」
引力から解き放たれた王蛇は勢いを失い、キバーラは屈んだまま力を溜める。
「やあっ!」
「ぐおっ!?」
そこから繰り出した回し蹴りで王蛇の体を叩き落す。
これまで、守られてばかりだった。
家柄に、立場に、世界に、仲間に――だから、
「今度は私が皆を守りたい!」
『戦え――それが願いを叶えるための、手段だ』
オーディンの言葉が蘇る。
空中に飛び上がったキバーラが一転二転と回転し、
輝く白い矢と成る!
「ぬおおおっ!」
王蛇も立ち上がり、残った力で迎え撃つ。
しかしその拳が前に突き出されるよりも速く、キバーラの蹴りが王蛇を貫いた。
「ハハハ…ハハハハハ!」
王蛇の満足げな哄笑は、爆発の轟音に巻き込まれていった。
そして残ったジェノサイダーも共に消滅していく。
「…」
肩で息をしながら、王蛇の、そしてその狂気に縛られた三つの魂を見送るように。
キバーラはしばし戦いの中ではあるが、その場に佇んでいた。